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三島自身の主演、監督による
「憂国」
この作品をして、何を語るか。
語られるのか。
それは委ねられるものだ。
のちに刃を収めたのは、
紛れもなく同じ腹である。
麗子の、二階への階段の、
その甘美な軋みは聞こえない。
全編を横溢するのは、
トリスタンとイゾルデ、愛の死。
台詞は一切、無い。
能舞台の、その設えは、
様式美の極北、
虚飾を徹底的に廃する耽美への疾走だ。
最後の、二人のその現世を生きた体。
魂は、もはやそこにはない。
ただ、波模様の石庭の海の波間に
たゆたう。

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