
玉の緖よ 絶えなば絶えね
ながらへば
忍ぶることのよわりもぞする
式子内親王
(小倉百人一首より)
私の命よ、無くなってしまうとよいのに…
このまま辛い日々が続けば、
あの人への恋心を忍ぶ思いが、弱ってしまう。
式子内親王は斎宮でもありながら、
藤原定家に想いを募らせていたといいます。
その禁断の恋は、世に許されることはありません。
………
そんな定家の直筆写本が発見されたといいます。
源氏物語、第五帖、「若紫」。
いわゆる青表紙本です。
ある意味、源氏物語の全ての流れを型づくる、最も鍵を握る帖と言えると思います。
若紫は、のちに紫の上へ…
本当の禁断の恋、藤壺との情交…
小倉百人一首においては、朝廷から武家への時代の遷移を感じつつ、歌を撰んだと思われる定家。
その、美しい筆致…
三島由紀夫は一ケ谷駐屯地で果てますが、もし、彼が生きていたならば…自身が語ったように、作品に定家を描き出したと思います。
感慨や美しいものとの邂逅。
思いを馳せること。
私は、バーテンダーには、とても大事な事だと思います。
光源氏…香りを焚き染めた畳紙に、
歌を詠んで恋文としました。
定家の筆致が、
源氏のそれに見えてくる。
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