News and Topics

そのめくるめく香り。

めまいがしそうだ。

含んでみる。
…まず軽薄と思わせるのか。
常套手段だ。
長い間、
樽のなかで夢を見てきたから
振る舞いが夢見がち…

喜びをもって、
その手練手管に惑う。

二呼吸ののちに、
有り得ないような
やわらかな慈愛の笑みをたたえる。

信じていいのか?

ボオドレエルの、
「彼女のすべて」という詩篇を引く。

一部引用、鈴木訳

あの女には あらゆるものが強烈に匂って
何かを 特別に選び出すことができない

全體に わたしは恍惚(うっとり)してしまふから、
何がわたしを魅惑しているのかどうかも解らない

あの女は曙のやうに
わたしの目を眩めかせ、
また、夜のやうにわたしを慰める

その美しい全身を支配している諧調は
微妙の極致

力の足らぬ分析は
調子の豊かなその和音を
楽譜に記す術もない

おお 溶けて一つとなった
わたしの全ての感覚の
神秘きはまる轉心よ

あの女の聲が 薫りをなすやうに
あの女の息は 音楽を奏でるのだ

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA